PM2.5 とは
PM とは Particulate Matter の略で、「粒子状物質」のこと。
PM2.5 とは粒径がおおむね 2.5μm以下の微小粒子状物質のことです。
「おおむね」というのは、「粒子径2.5μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子」であるからで、2.5μm以上のものも含むからです。
ちなみに、1μm(マイクロメーター)は 100万分の1メートル、つまり 1000分の1ミリメートル。
赤血球の直径が 7.5μm と言われており、PM2.5 はそれより 1/3 は小さいのです。
もちろん肉眼では見えません。
花粉の大きさは様々ですが、スギ花粉は 30μmくらいです。
PM2.5 って 2.5μm程度の大きさのものね、と早合点してはいけません。
PM2.5 って 2.5μmのものではなく、2.5μmよりはるかに小さな微粒子も含みます。
PM2.5 の粒径分布をとってみますと、直径 0.3μm付近のものが最も多いのです。
つまり、目の細かさが 2.5μmのフィルターではほとんどが素通りしてしまうってこと。
PM2.5の原因
PM2.5 の原因は、自動車の排気ガス、石炭(暖房、発電、工場)などとされています。
自動車の場合は軽油や粗悪なガソリンが原因です。軽油からの排ガスの微粒子が PM2.5 の大部分という説もあります。ガソリンの精製が充分なら PM2.5 はそんなに出ません。
石炭を使う場合も、煤煙をきちんと濾過するなり、集塵装置をつけるなりすれば、かなり抑制できます。つまり対策が不十分なのです。
これらの排出された微粒子そのもの(一次生成粒子)と、もっと小さなガスが大気中で集合してできた二次生成粒子とが PM2.5 の正体です。
PM2.5はどこから?
PM2.5 は非常に小さいため、風に乗ってはるか遠くまで到達します。
つまりは人間の暮らしによって生成されるものですが、人の住んでいない離島でも観測されるので、よそから飛来してくるのは確実。
日本国内でも PM2.5 は産生されていると推測されていますが、日本海を越えて偏西風に乗ってくるものがはるかに多いと思われます。
黄砂と比べると
このように飛んでくるものとしては黄砂が有名ですね。
黄砂の粒子径は 0.5〜5μm と、PM2.5の粒子径(0〜2.5μm) と一部オーバーラップします。
九州や関西など黄砂が多く飛来する地域は大陸由来の PM2.5 の飛来も当然多いということです。
ところが、PM2.5 は実際は 0.3μm くらいの微粒子が多いので、黄砂より小さいものがはるかに多いことになります。
そのため、黄砂よりはるかに遠くまで到達するので、関東など他の地域でも多く飛来しているというわけです。
中国の大気汚染
中国の大気汚染の状況が深刻であることは最近のマスコミでよく取り上げられています。
汚染物質の大気中濃度の高いエリアが広範にあり、特に 北京のある北東部と、上海のある東シナ海沿岸部 が突出しています。
これらの地区には中国の総人口の6割が住んでおり、ひどい日には PM2.5 の濃度が 800(マイクログラム/立方メートル)に達することもあるそうです。
日本の環境基準値は 35 (マイクログラム/立方メートル)以下。
しかも、中国当局の発表では、
十数年連続で大気汚染は改善している
ということ。「増悪」の間違いではありません。
これがもし事実なら、十数年以上前から 今まで以上の濃度で 飛来していることになります。
今あなたが吸い込んでいる PM2.5 はどのくらい
環境省が運営するシステム「そらまめ君」のサイトに行けば、日本各地のそのときの大気汚染物質を知ることができます。
PM2.5 のほかに、SO2、NO、NO2、光化学オキシダント(OX)、非メタン炭化水素(NMHC)、浮遊粒子状物質(SPM)などが表示できます。
そらまめ君は空をマメに監視しているのです。
季節による変動
中国大陸で発生している量が多いのは事実。それが風に乗ってやってくるのも事実。
ですが、風の向きは一定ではありません。
夏などは南風が優勢となるので、少ないはずです。
ではいつが多いのか。
黄砂はなぜ春に問題になるのか。そう、大陸からの風がこちらを向いているからです。
PM2.5 も春から梅雨の時期までが最も多くなる傾向にあります。
健康に及ぼす影響
PM2.5 は細かいので、気管、気管支を越えて肺胞に沈着します。
それそのものが炎症を惹起しますし、抗原・抗体反応を高めるアジュバントとして働きます。
循環器(心・血管)に対する影響もあるとされます。
発癌性を示唆する研究結果もありますが、長期的影響においては実験結果が不足しているため、詳しいことはわかっていません。
中国:大気汚染で年間120万人死亡 死者の15%
毎日新聞の記事では、
中国で、2010年に大気汚染が原因と疑われる症状で早死にした人が120万人を超え、この年の死者数の約15%に上ったとの調査結果を、清華大(北京市)などが発表した。
ということです。ただし、これが控えめな数字である可能性もあります。